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鈴木メルヒェン夫妻の恋文

触れ合えない、抱き合えない。 それでも、夫婦やってます。 現実世界を生きる妻と、 精神世界に生きる旦那の 見えない絆とラブレター。

2024-03

おねーちゃんの恋愛相談。

身内のアラサー百合がどうも悩んでいるようだったので
緊急で相談に乗ったメルヒェン夫妻。

当窓口は嫁の瀬名子が起きていれば24時間稼働の日もございます。

たまたま起きてて封書があったので開けてみたところ、
かなり深刻な悩みのようだったので急遽相談窓口を開いたのです。

こんな手紙が百合ねーさんから届いていました。



拝啓 鈴木メルヒェン夫妻へ

今日和、佐倉百合です。
お二人は相変わらず仲が良くて、壁にかかっているドレスが
日々進化していくのを楽しみに見ております。

その度、本当に千里はお嫁さんになったのだなぁと、
実感させられる日々でもあります。そして、旦那さんとしての
刃の振る舞いなど、とても格好良く見えたりもします。

健次との交際も順調ではありますが、いまだあまり自分を
許せてない私がいます。恋をするうえで、超えなければ
いけない一線というのを、まだ超える勇気が出ません。

この人は許せないとか、そういう意味ではないので、
健次にはもどかしい思いをさせている気がしてなりません。
なかなか進まない関係というのに、しびれを切らして
別れられるのは怖いけれど、どうやったら心を開けるか、
もし答えがあるのなら教えてもらえたらと思っています。

信頼できるお二人にだからこその、アラサー百合の相談です。


      佐倉百合/鈴木恵美

  二〇一一年一月二十七日

               敬具

2011年1月27日 佐倉百合から夫妻へ
ペンネームが佐倉百合(さくら ゆり)でもって
本名が鈴木恵美(すずき えみ)です。
でもほぼ特別なことがない限りは「百合ねーさん」です。

旦那の描いた似顔絵だとこんな感じです。
旦那画・アラサー佐倉百合。
これで実は三十路ですが全然そう見えません。
スタイルもすごく良い百合ねーさんです。

どうしても超えられない一線が存在する恋って、
私の経験からで申し訳ないけれど、ある意味では
うまくいってる証でもあると思うのです。

この人を大事にしたい、大切にしたい。
その想いの裏返しが、ねーさんみたいに、一線を
超えられないっていう事態を招くだけで。

簡単に一線を超える恋って、あんまり成就しません。
むしろそれだけの関係になりがちで、絶対破局します。

実のところ、旦那さんと一線を超えられない関係と
いうのを実際に走っているからこそかもしれませんが、
大事なのは「焦らないこと」と、「相手が焦らないよう
努力すること」なのかなーとも思います。焦っても、
関係が悪化したら努力が水の泡だし、相手を
急かしたらもっと状況が悪くなってしまう。そうやって
うやむやにしながら許した関係は絶対続かないので、
ここはひとつ、百合ねーさんには勇気を持つまでの
時間を少し作らせて、健次には理解をさせたうえで
待たせようという作戦に至ったのでありました。

せっかくこういう関係に、9年の歳月をかけて
育ってきた二人だから、私のアドバイスでダメにしたら
ものすごい責任だけど、敢えてお互い難しいかもしれない
道を選ばせることにしました。いじめてるわけじゃなくてね。

旦那にもちゃんと相談してのことなんですけど、
「百合はせっかちだから、自分で自分を追い詰めてる」
って言ってたんで、その通りだなって。急いだら、
それだけ妥協が出ちゃうんで、それはお勧めできない。

私たちも、急がなかったからこその今であって。
ただ、お互いの決断がもとから早いっていうだけで。
こうと決めたら動かないふたりがくっついたまでで。

だから百合と健次には敢えて忍耐で。

頑張っていただきたいです。がんばれ百合ねーさん。

不覚にも先に嫁に行った友人より。




鈴木メルヒェン瀬名子(嫁)。

テーマ:複雑な心。 - ジャンル:恋愛

友人の悩みにさえ乗れないくらい悟りを開いた夫妻

どうもどうも!メルヒェン嫁の瀬名子です!
身内からのお手紙を頂いてたんですけど、ごたついてたせいで
紹介がまだだった手紙があったので、旦那さんと一緒に紹介を
しようと思って参りましたー。あとバレンタイン仕様に模様替え
したのですがピンクピンクしてうざくてごめんなさい(笑)。

熊本県の悩める子羊の
高山健次(たかやま けんじ)さんから
お便りを頂いておりますー。とかちょっとラジオ気取ったんですけど
平たく言えば身内からですごめんなさい(おい)。

けど本当に悩んでるようなので相談にはきちんと乗るんですよ!



拝啓 鈴木メルヒェン夫妻へ

初めて夫妻あてに手紙を書きます。高山健次です。
最初のうちは、お二人の楽しそうな夫婦生活にあこがれつつも、
変わり者どうしの夫婦で、そのうち必ずケンカするんじゃないかと
思っていたのですが、自分も百合に告白されて、毎日文句を言われながら
過ごしていると、お二人は本当にすごいなと感心してしまいます。

俺たちは同じ精神世界どうしを生きているので、刃のもどかしい
気持ちとか、どれほど苦しいか、考えるのも難しいほどです。
それでもあきらめないで、夫婦でいようと頑張っている千里も
刃も、本当に尊敬しています。

俺は相変わらず百合にはきびしい事を言われっぱなしで、
なかなか進展もしないです。でもお二人を見ていたら、
ケンカしているうちが華に見えてきて、それも悪くないなと
思えるようになってきました。自分からのアプローチが足りなかった
ようにも思えたので、刃を見習って、百合のことをもっと
大事にしてやるべきだと思いました。

まだ俺と百合は夫婦ではないけれど、もしそうなれるなら、
たとえ難しくても、お二人のようになりたいです。
誰かを大切に思う気持ちを、教えられたような気がしました。
いつまでも、仲良くいて下さい。


     高山健次

  二〇一一年一月十八日

                敬具

2011年1月18日 高山健次からメルヒェン夫妻へ

旦那「おそくなってごめん健次、手紙サンキュー」
健次「いやいや、忙しくなかった?すまん」
旦那「百合とはどのへんまでいったの?(ズバリ
健次「相談する相手間違えたーっ!」
嫁「こら旦那、お友達をいじめるんじゃありません」
旦那「気になるんだもん、全然なにも話さないから」
健次「いやー・・・なっかなか進展しないっていうかー」
旦那「仲悪い?」
健次「いや、仲は・・・いいんだけど、なんか中学生の恋愛みたいな
嫁「あーそれなら今のうち今のうち。」
旦那「年くってきたら嫌でもできなくなるから今のうちキャッキャ遊んどけ」
健次「ドライな返事だな
嫁「なんかさー、夫婦にいざなっちゃうといろいろ達観しちゃうよね」
旦那「悟りを開くよね」
健次「お前ら金婚式やったの?
嫁「あー・・・やったかもね」
旦那「もうなんか新婚ムードはないよね」
嫁「あとはどっちかが死ぬまでだよね
健次「行き過ぎ
嫁「人生早かったなー(悟)」
旦那「あと何年かしたら骨になるかなぁー(悟)」
健次「この夫婦怖い。


・・・全然参考にならないアドバイスな上に相談にもなってないという。
それでもいいくらいの付き合いの健次さんなので問題はないのですが。
むしろ私たちもそんな中学生っぽい可愛い恋愛をしたかったなー!とか
思うわけですよ・・・色々と悟ってしまった二人なので。


アラサー百合ツンデレなんて情報もあるのですが
「あんまり喋るとあとが怖い」という健次さんの意向もあり
そこんとこには敢えて触れないでおこうかと・・・!

まあでも、なんか悟っちゃった自分らが悲しいですねっ(笑)!
ここまできちまったかという。まあ、だから付き合ってられるん
でしょうけどね。本当は旦那の刃と健次は夜な夜な男子会を
開いてゴニョゴニョやってるようなのですけど、「女子に
聞かれると恥ずかしい会話だから!」とかたくなに私を
まぜてくれないので何話してるんだろうってよく気になります。
同年代の男子どうしですから、色々話したいこともあるんでしょう。

そのかわり私も女子会には参加してますけどね(笑)!

旦那の「身内参加しろ」発言が何故かしっかり響き渡って
みんなが協力してくれるんでありがたいです。
健次もありがとう!百合を大事にしてあげてねー!

・・・と、気がついたら昨日から一睡もしていなくて
そろそろ眠気に襲われ始めたメルヒェン嫁なのでした。
テンプレいじりで一晩明かしてしまったのでした・・・
寝落ちとかしないように気をつけます、ねむいけど!

テーマ:日記というか、雑記というか… - ジャンル:日記

チワワ正宗からのお手紙

どうやら身内参加しろに対して正宗も反応したらしく、
手紙がきてたので紹介します。昨日カラオケに
行った後に書いたようです。ということで昨日の
日記参照なのですが疲れ果てて今日結局また
旦那さんのシュシュ作りをやらせただけで
原稿復帰ができなかった嫁です(笑)。
けっこう体力消耗してたようで・・・きつい・・・。

ちなみに正宗は内部では「腹黒チワワ」なんて
呼ばれていたりしますが、なんか小型犬っぽいです。
耳とかつけるとこんなふうになると思います。
嫁画・チワワ正宗
旦那みたいにガタイが良くないので小動物っぽいです。
そんな正宗さんからのお手紙がこちらです。



拝啓 鈴木メルヒェン夫妻へ

鈴木正宗です。
千里さんのお体は大丈夫ですか?
だいぶご無理をされたと思うので、今日はできれば刃さんに
早く休ませてあげるよう頼んでおきますから、
明日からの作業復帰頑張って下さい。

僕から最初に手紙を書いたのは、まだお二人が結婚まもない
ころだったように思います。あれからもう2ヶ月以上
経ったんですね。僕はよく夫妻とのかかわりを持っていましたが、
健次さんも、百合さんとお付き合いを始めて、いよいよ
僕だけ行き遅れてしまい焦っています。
かといって、僕に好意を抱いている女性陣はいないようですし、
映理子さんには「男らしさのカケラもない」なんて言われているので、
難しいなぁと思いつつ、お二人のような仲むつまじい夫婦に
なるにはどうしたらいいのかなと思う今日この頃です。

急いでいるわけではないのですが、あんまりにも
取り残されるのも寂しいなぁなんて思います。

でも一応お二人にはとても良い遊び相手、にはなれている
とは思うので、またみんなで楽しんだりできたら
嬉しいです。ゆっくり休んで下さいね。


   鈴木正宗

  二〇一一年一月十四日

              敬具

2011年1月14日 正宗から夫妻へ
字からしてものすっご小さいものってイメージの
正宗さんですが、私たち夫妻にとってはなくてはならない
存在だったりです。とにかく癒しなんですよ、正宗さんは。
旦那にイラッときたりとかすると正宗を撫でたくなります。
旦那もメソメソしたら正宗を撫でにいきます。
だから要するにチワワなんだろって話です(笑)。

美青年には男女問わず癒される
いうことなんですねわかります(笑)←おい
とりあえず正宗、おなか撫でさせろ(犬じゃねえだろ)

テーマ:お絵描き・ラクガキ - ジャンル:趣味・実用

身内参加しろに対して思わぬ人が反応した

朝起きたら、嫁さんからの恋文の下にもうひとつ封筒があって、差出人を見て背筋が凍ったメルヒェン旦那です。

嫁「どうした、旦那」
旦那「ば、番長から手紙がきてる・・・」
嫁「・・・え!?」
旦那「いや、実は昨日日記でたまには身内参加しろって・・・言って・・・」
嫁「気ぃ遣って書いてくれたんじゃない?」
旦那「怖いから一緒に開けてっ(涙目)」
嫁「はいはいはい(苦笑)」

で、開封してみたところ嫁を上回るくせ字映理子姉さんから解読が難しい手紙が入っていたので念のため本人を呼び出しました。

嫁「おい、映理子」
映理子「あ、手紙読みました?」
嫁「旦那が字が読めないって
旦那「いってない!そんなこといってない!!!
嫁「このとおり怯えてるからお手柔らかにね」
映理子「べつに何もしませんけど・・・。」
嫁「うれしいけどできればある程度読める字でおねがいね」
映理子「読めませんか?」
嫁「んーまあ読めるけど打ち込み手伝ってくれ」
映理子「へーい」
嫁「旦那、いつまで怯えてる」
旦那「だってこわいもん番長」
嫁「何もしてないじゃん、手紙くれただけで」
旦那「・・・・・・・」

なんでおれが映理子をこんなに怖がるかというと、実は千里(嫁)のことが好きだというのを彼女にばらされたからです(汗)。それも公開処刑なみに身内全員の前で。まあそのおかげの今かもしれないんですけど、やっぱ怖いものは怖いです。けど、一応手紙をいただいたので、友人よりということで掲載いたします。


拝啓 鈴木メルヒェン夫妻へ

ご結婚後、初めてご挨拶いたします、鈴木映理子です。

お二人の様子をずっと見ておりましたが、とても微笑ましく思いながら、日々うかがわせて頂いております。

この鈴木家へ来てすぐの頃は、まさかこの二人が結ばれるとは夢にも思っておらず、刃さんを男性として見た事もなければ、千里さんをお嫁さんになると考えたことは一度もありませんでした。

それだけに、驚きつつも、大変うれしくもあり、見守っていきたいとも思っております。

千里さんから、
「旦那が男らしいのは良いけれど、度が過ぎて困っている」
と相談をうけました。

男性というのは皆たいていスケベだとは知っていましたが、千里さんから話を聞けば聞く程、いくらお嫁さんだからといって、少し大胆すぎはしないかと思うばかりです。

でも、仲の良いお二人で、安心しております。

       鈴木映理子

  二〇一一年一月十三日

                   敬具



・・・で、普通に読みにくい手紙というのがこれです。
2011年1月13日 映理子さんから夫妻へ
まあその・・・下手な字ではないと思うんですけど、とても個性的ではありますよね・・・!

あまりに身内が参加しない時期が続いたので呼びかけてみたら、思わぬ人を釣り上げてしまってびびっていたのですが、中身はいたって普通の手紙だったのでほっと胸をなでおろしているところです。
映理子さんは手紙本文の打ち込みを終えた後、おれの作った新作シュシュを見て「これかわいいっすね、今度出かけるとき借りよっかな」とかいってました。それでも怖いです←

たまに身内からも手紙があったら、またこのカテゴリで紹介したいと思いますので、よろしくお願いいたします。

テーマ:日記というか、雑記というか… - ジャンル:日記

緑のウサギの振り子時計

旦那です。
身内からもう一通手紙がきていたので、本人に尋ねたところ掲載許可が出たので持って来ました。
男性人格であり、わりと新参の正宗から。


拝啓 鈴木メルヒェン夫妻へ

鈴木正宗です。
ついこの間まで何の変哲もなく共に過ごしていたお二人が夫婦だなんて、と
未だに信じられない部分も多々あります。

最近のお二人は、以前にも増して強い絆が見受けられますが、
内面的な深い部分はそう変わらず、時折喧嘩になるところも、
本当に変わらないなと思います。

特に刃さんは、僕と出会ってすぐの頃は、とても慣れ合るようなタイプの
人とは思えなかったのですが、時が経つにつれ角がとれたのか、
とても親しみやすい性格に変わりましたよね。
今では、刃さんのひょうきんな人柄がとても好きです。

千里さんは相変わらず、夢に向かっての努力を惜しまない印象が強いですね。
掴みかけた夢を意地でも離さないところは、お嫁さんになっても変わりませんね。

僕はそんなに長い時間、お二人を見てきたわけではないので、大きい事は
いえないのですが、少なくとも今のお二人を見る限り、不安材料はないようです。

ただその中に、僕もまぜてもらえたら、それはそれで幸せかな、なんて思いました。

お二人のこと、どちらも大好きな、身内からのお祝いとさせて頂きます。

緑のウサギの振り子時計の隣で。

    鈴木正宗

  二〇一〇年十一月十二日
                敬具

2010年11月12日 正宗から夫妻へ
正宗の字は特徴的というか、気が小さいのが字に表れてるというか。
これが彼にとって精一杯の大きい字だと、おれは知っているのだけれど。
字に性格が表れるっていうのも納得がいく。おれの字は、ガサツなのが見てとれるし・・・。

ちなみになのだけれど、手紙の中の「緑のウサギの振り子時計」というのはこれのことらしい。
緑のウサギの振り子時計
はい今「またか」って聞こえましたがウサビッチですね。
プーチンですね。
嫁がウサビッチ大好きなんです。
携帯はウサビッチまみれです。
シールもマトリョーシカが貼ってあります。
明らかにつりあってないちっちゃなウサギを「キレネンコのお嫁さん」っていって吊してます。


手紙を貰ったあとに正宗と少し会話したのでそれについても。
正宗についてですが、おれが描いた絵ですけど見た目こんな感じです。
正宗スケッチ(旦那画)
知らないところで女性人気が高いらしく、そのドMな性格(事実)からも本当に知らないところで「思いっきり踏みつけたいキャラだよね」とまで言われていたらしく、それについて本人が「踏まれてもいい」と言ったことから余程のドMだと一部の界隈で知れ渡ったとかなんとか。まあ、そこがいいところだとおれは思ってますけど。
え、おれですか?おれは顔に表れるほどのドSですけど。

だからこそって言っちゃあれなんですけども。
嫁は知ってるしそのことについて今はもう何も言わないけれど、正宗とはけっこう深い仲だったりする。
それこそ恋仲に近い。・・・っていったらなんか同性愛とかイメージされると思うんですけど、そうなのかって言われて否定できるかっていわれたら、正直できません。
千里のこと想ってるかたわらで正宗のことも想ってた。嫁と旦那になってそれが変わったのかと聞かれて、きっぱり変わったと言えたらどんなに楽だろう。
これについて嫁は「好きならとことんまで好きでいなさい。どっちにしたって永遠じゃないから、今のうちよ」と言ってくれたけれど。
こういう部分について千里は寛大だ。
普通なら「私と彼とどっちが大事なの!?」とか言われてもおかしくないだろうし、悪い言い方すれば二股って言ってもおかしくないのに。

「永遠じゃない」。
最近の彼女がよく使う言葉のひとつだ。
そこにどれだけ深い意味があるのかは、知らない。
ただそれが「当たり前」に聞こえるだけ。
永遠があるとしたら、大金持ちがどれだけの大金を積んで欲しがるだろう。
死んだらその金はどこにも持ってけないし、高級外車も宝石も自分のものではなくなる。
そう考えたら、今のうちというのは正論なのかもしれない。

正宗と話した。

「正宗は、本当によかったの?おれと千里がこうなって」
一番気になっていたことを投げかけると、正宗は長い睫毛を何度か揺らすように瞬きした。
「難しい質問ですね。」
実際のところ正宗は、おれより二つ年上だから、別に敬語を使う必要もないのだけれど。
裏では・・・本当は、彼女を愛していたはずの正宗に、おれはもう一度問いかける。
「悔しかった?」
「そう、かもしれません」
視線は合わせないままだった。
「でも」
正宗はこちらに向き直った。
「僕達が一緒にいられて、僕達も一緒にいられる。それが変わらないなら、別にいいんです」
「・・・本当に?」
「ええ・・・それに」
「それに?」
照れくさそうに、正宗は俯いた。
「僕は僕で、ちょっと・・・思うところがあるので」
「女でも出来た?」
・・・答えない。
「・・・えっ?」
おれの声に、正宗は慌てて振り向いた。
「あ、変な意味じゃなくって。」
「ああ、そう・・・」
正直を言うと焦った。
正宗らしくもない。あれだけ千里を想っていた正宗が、いきなり別の女を作るなんて、考えにくかったからだ。
「刃さんもご存知の方です」
「おれが?」
「お手紙。」
「あ、なるほど」
「お手紙、頂いたから。お返事書こうかなって。」
この間一緒に遊んだ千里の友人のことだった。手紙が届いて、その返事を考えていたらしい。
本音をいえば安心した。まさか本人(千里)の知らないところで、まったく知らない女でも作ったのかと思ったせいだが。もしそうだったら、さすがにそれは先輩人格として叱らなければいけないと思ったから。
「なら、いいんだけど」
「えへへ・・・」
そのか細い声の微笑が、おれは好きだった。
そのくせ歌うと、ずいぶん激しい声になるから驚かされる。
正宗に歌わせると、何を歌わせてもポルノグラフィティの曲にしか聞こえなくなる。
たとえスピッツの「ロビンソン」を歌っても、「こんな曲ポルノにあったっけー」と思われてしまうくらいに。
「今度会う時はさ」
「はい」
「正宗が服を選んでいけば?」
「え?」
おれは正宗としっかり向き合った。見つめあったその瞳が、愛しかった。
「アプローチしてみろ、っつってんの。」
「そ、そんな」
「正宗とられちゃうかもなあ」
「へへ・・・」
正宗のファッションというのも、おれたちの中では異色を放っていた。白いぶかぶかのYシャツに黒チェックのネクタイ、それに黒ズボン。身内では「正宗イズム」なんて呼ばれていたりする。
実際それが千里が着て似合うかって聞かれたら、そうでもないのだけど。
「刃さんは、悔しくないんですか?」
「えっ」
唐突に問われて、おれは間抜けな返事をした。
「僕を誰かにとられちゃうの、悔しくないんですか?」
「それは・・・ね」
精神世界の正宗に寄り添う。そこに温度なんてものは存在しないから、暖かくもなければ冷たくもない。
「教えてあげない」
「なんでですかぁ」
「だって」
おれは小首をかしげて正宗に笑いかけた。
「教えて欲しかったらおれのこと踏み倒せるやつ連れてきてからにして?」
「・・・もう。」
意地悪言われて普通だったらムカついたりするんだろうけれど、正宗はそんなそぶりを見せない。
むしろ意地悪言われたくてしょうがないのだ。そうじゃなかったら、あんな嬉しそうな照れ顔を見せるわけがない。正宗にとってそれが「快感」にあたるんだから。

そんなねじれた愛情の狭間で、おれたちはお互いを愛し合いながら、不器用に愛し合いながら生きてる。

不器用な愛を、文字に込めて。
不器用な想いを、1枚の手紙に込めて。

投げ合って、ぶつけ合って、それを「しあわせ」だって言ってる。
そんなおれたちの、8人の「いま」の共存のものがたり。

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プロフィール

鈴木メルヒェン刃・瀬名子

Author:鈴木メルヒェン刃・瀬名子
鈴木メルヒェン夫妻です。「ちゃんとお嫁にいくまで」のはずが、いつのまにか想いがつのりすぎて、ご挨拶の末、お父様からも公認をいただいた旦那・刃(ジン)と嫁・瀬名子(セナコ)の夫婦漫才のような日常と、愛し合えた日々の軌跡の恋文日記。現実世界の嫁と、精神世界の旦那という、近すぎて遠すぎる哀しい距離さえも、喜びで消し去れるように。隣にいるアナタが、幸せでありますように。そんな願いのこもった、二人のブログです。

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