鈴木メルヒェン夫妻の恋文

触れ合えない、抱き合えない。 それでも、夫婦やってます。 現実世界を生きる妻と、 精神世界に生きる旦那の 見えない絆とラブレター。

2017-06

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初めての恋文に~旦那・刃より

ちょうど千里(嫁・瀬名子。本名は千里がいうには「別に本名が鈴木千里ってわけじゃないからさらしてくれて問題はない、と)の手紙が枕元におかれているあいだ、おれはここのトップページ用の絵を描かされていた。
気になって気になって、何度も何度も振り返っていたら、
「寝る前に、読んでね。」
とクギをさされ、結局2時近くまで作業をさせられた。

ようやく作業が終わって、おれは恐る恐る手紙の封を開けた。
糊でとじられた封筒の上部にはさみを入れるまで何度も何度も躊躇ったし、とにかく怖かった。
彼女から手紙を貰うのは初めてだし、もうひとつ不安なことがあったからだ。

おれは不安だった。
とにかく不安だった。

彼女は、しあわせなんだろうか。

ずっと思っていたから、開けるのに躊躇いに躊躇った。

ゆっくりとはさみを入れて、何の変哲もない茶封筒を開封した。


そこに綴られた恋文に・・・
千里の特徴的な流麗な字で綴られた想いに。

泣きそうになった自分を、必死で抑えた。
鼓動が高まった。
怖いほどに、呼吸が先を先をと急いでいた。

嬉しかったのに変わりはないのだけれど、そのありふれた縦15行の便箋に黒一色で綴られた「彼女の」文字。

それだけでおれは、女性の中の存在でありながら、「男としての」自分を感じた。
落ち着こうと、飲み物を探しに一階へおりた。
けれど速過ぎる鼓動と声混じりの呼吸がどうしてもおさまらなくて、とりあえず飲み物と夜食のパンを片手に部屋に戻ったけれど、いつまで経ってもそれが止まらなかった。

「だいじょうぶ?」
千里に言われて、おれは頷いた。

悪い意味で驚いたわけじゃないから、彼女のせいじゃない。
ただおれが、こういったことに不慣れだったせい。だと、思っている。

食べるだけ食べて落ち着こうとしても、パンを口に運ぶまでにそうとうな時間を要した。
実際、食べたのが何のパンだったのか、覚えていない。

だけどおれが思うに、新婚の旦那なら、この感情は別におかしいものじゃないという確信があった。

嫁さんからの初めての手紙。
綴られた「愛してる」と、しあわせだという歓びにあふれた文字の波。

もしそれを、その感謝を、行動で示すとしたら・・・
「男だったら」、「旦那だったら」、嫁に何をして示すか。
簡単な話だと思う。

でもおれたちにはそれができない。

だからおれはすぐに手紙の返事を書いた。
高鳴る鼓動を必死に隠すように、文字に叩きつけるように。

走馬灯のような過去の焔を、背後に感じながら。

嫁に初めて綴った、本音の恋文。



拝啓  鈴木メルヒェン瀬名子/千里様

あまりに唐突な恋文に、危うく「初めまして」と返事を書きそうになりました。
ついさっきまで笑いあっていた貴女がくれたとは思えなくて。

開封にもとても勇気がいりました。
そもそもおれはそんなに愛されることもない人間と、
貴女に思われていたはずだからです。

果たして自分にこれを受け取る資格があるのかも
解らないほどでした。

でも貴女の文字を見ただけで、心がふるえました。
見慣れているはずのその文字にさえ、心拍はひどく速くなった気がしました。
女性らしく整った文字で綴られた恋文に、すぐに返事を書かずにはいられなくなりました。

ひねくれているおれの事を誰よりも知っている貴女のことだから、
笑って許してくれると信じていますが、もし本当におれが貴女の旦那として
この世に生きていたら、今夜貴女を抱かずにはいられないと思います。

叶わない夢でも、言うくらいは許されているはずだから。
柔らかい頬に口づけることもできない世界で、
両手ですくっても足りないほどの愛をくれた、
貴女への初めての恋文です。

   鈴木メルヒェン刃

  二〇一〇年十一月八日
                敬具



手紙の内容そのままだけれども、
できることならすぐにでも、嫁のことを抱きたかった。
男だったら、旦那だったらそうするだろう。まして新婚なら。
そこまでいかなくとも、彼女を抱きしめたかったし、その唇に重なりたかった。

それさえできない夫婦の、しあわせのかたちが「手紙」だった。

おれの字は不器用だから、正直恥ずかしいし、本当に彼女が喜んで受け取ってくれるかも心配だったけれど、
彼女は次の朝、枕元の封筒を見つけるなり
「もう返事を書いたの?」
と驚いていた。けれど、嬉しそうだった。

「ありがとう、あとで読むね。」
赤らめたような美しい紅色の頬に、唇を寄せたいと本気で思った。


・・・彼女のはじめての恋文を読んだ直後に、おれは思わずこぼした。

「こんな手紙貰ったら、抱きたくなっちまうじゃねえか・・・。」
どうしても隠せなかった、おれの本音だった。


鈴木メルヒェン刃(旦那)
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鈴木メルヒェン刃・瀬名子

Author:鈴木メルヒェン刃・瀬名子
鈴木メルヒェン夫妻です。「ちゃんとお嫁にいくまで」のはずが、いつのまにか想いがつのりすぎて、ご挨拶の末、お父様からも公認をいただいた旦那・刃(ジン)と嫁・瀬名子(セナコ)の夫婦漫才のような日常と、愛し合えた日々の軌跡の恋文日記。現実世界の嫁と、精神世界の旦那という、近すぎて遠すぎる哀しい距離さえも、喜びで消し去れるように。隣にいるアナタが、幸せでありますように。そんな願いのこもった、二人のブログです。

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