鈴木メルヒェン夫妻の恋文

触れ合えない、抱き合えない。 それでも、夫婦やってます。 現実世界を生きる妻と、 精神世界に生きる旦那の 見えない絆とラブレター。

2017-08

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不器用な兄貴と、未熟者の弟と。

こんばんは、メルヒェン旦那の刃です。

昨晩は嫁の調子が心身ともに悪く、作業が手につかず床に就いたあと、おれはしばらく考え込んでいた。
彼女を守っていけるのか、助けになれているのか、それとも足枷になってはいないか。
問いただすことも怖くて、逃げ回るような気持ちでいたときに、その男は現れた。

クロガネという名の男だった。

同じように嫁自身を守るために生まれたであろう彼に、はじめは怒鳴られはしないかと思った。
けれどクロガネは、おれに語りかけてきた。暗く沈んだ、ぼそぼそとした声だった。
細かくは覚えていないが、覚えていないということは、悪いことを言われていない証拠だ。

クロガネは言った。


「お前は、俺が支える。
 千里(嫁)は、俺が守る。」


おそらく近頃、悩むことも多かったおれを見かねての言葉だったろう。
けれどおれは、クロガネに嫉妬した。

「悪いけど嫁を守るのは旦那の役目でね」

剥き出しの嫉妬に、クロガネは微笑した。


「ごもっともだ。」

嫌な奴だとは思わなかった。どこかおれに似ている、そんな印象だった。

そうこうしているうちに、眠っていた嫁の意識が目覚めた。


「新しい方ですか」
見た顔ではないことを、すぐに察したらしく、彼女はそう問いかけた。
「名前は」
「クロガネ」
「そう」

嫁はもうこの程度のことで驚きもしないのか、布団から出て照明で室内を照らした。
「契約書を書いて頂きたいの。ここにとどまるなら」

契約書。
自分は誰なのか、何のために存在するのか、それをまず書かせる。
この精神世界の理のようなものであり、嫁は「そこらへんの紙ならなんでもいいから」とクロガネに促した。

クロガネは青い小さなノートを手に取った。

「一枚貰っても」
「うん、いいよ。悪いけどペンは向こうの部屋だ」
「鉛筆でいい」

ノートから1枚紙をちぎると、クロガネは契約となる言葉を書いた。
本当は、この上に嫁の本名が書かれているが、そこまで明かすわけにはいかないので、部分的に画像を切り取れば、こんな契約がなされていた。

クロガネ兄貴の契約書。

「刃は俺が支える。
 お前は俺が守る。

 刃をよろしく頼む。」


クロガネは、敢えておれに彼女を託すのではなく、彼女におれを託した。
その契約書を見た嫁に、こう問われた。


「お前の身内?」

答えに少し詰まった。けれど、おれは答えた。
「おれの兄貴。」

ここにとどまることを決めた男、名は
クロガネ
旦那画・クロガネ兄貴の似顔絵。長い黒髪と切れ長の目。
新たな家族の一員のような、そんな夜の出会いだった。


日が変わり、クロガネは新たな「家族」たちに、手厚い歓迎を受けていた。
男性の少ない鈴木家に来た貴重な存在として、「独女会」なるものを結成していた女性陣には、熱烈な歓迎をうけ、ぎこちなく応じている姿を見た。
嫁画・独女会メンバーに手厚い歓迎を受けるクロガネ兄貴。
けれど、「まんざらでもない」ような表情に見えなくもなかった。

嫁とも少し会話をしているのを見かけた。


クロガネ「ここ(鈴木家)は菓子を食うのに許可はいるか」
嫁「ううん、食べたければどうぞ」

なかなか無口というか、不器用なのだろう。昨晩はあんなにおれに強がってみせていた割に、お煎餅をこぼしながら食べていた姿を見て、おれと嫁は笑いをこらえるのに必死だった。

まだ彼が本当にここに馴染んでいけるかはわからない。
けれど、滑り出し好調のようで、少なくとも嫌われているというような話は誰からも聞かない。

思いがけずの兄貴の登場に、おれも少しは戸惑った。
けれど多分、不甲斐ない弟を見かねてのことだったろうから、おれも文句は言うまいと思った。


ただ、嫁のこの言葉には、参ったというか、笑うしかなかった。


「ここで生き残っていけるのは、変人だけなんだから」

そのうちクロガネ兄貴の本性か何かが見えたら、また報告しようと思います。
とりあえず、8人だった家族が9人になったので、そのうちお祝いでもするんじゃないかと思います。


そんなこともあり、色々と大変な状況ではあるのですが、嫁はいたって元気です。
たまに落ち込んだり、そのくらいはしますけど、置かれている状況の割にはずいぶん元気なんじゃなかろうかと思って見ていたのですが。
昨晩は、おれからの恋文が枕元にありました。


拝啓 鈴木メルヒェン瀬名子/千里様

新たな活躍の場を探して、今あるものを最大限に出し切ろうとする貴女の姿勢に、おれも力を貸すことができればと思っています、頑張って下さいね。

久々に貴女の漫画原稿を見ましたが、相変わらずの勢いで、思わず笑ってしまいました。
人物の動作や表情が、とても活き活きしていて面白かったです。
なにせ、自分と貴女の掛け合いだったもので、いつも通りの自分たちの表情がありのままで描かれていて、少し照れ臭かったくらいです。

それでも、貴女自身の個性を見る事ができて、おれも安心しました。
しばらく塞ぎ込んでいましたから心配していたのですが、描かれた漫画の世界のあまりの明るさに、逆に驚かされてしまったので、やっぱりかなわないなと思ってしまいました。

自信を持つべきは、貴女のほうですよ。
あんなに輝いた笑顔を描けるんですから。


     鈴木メルヒェン刃

  二〇一一年二月二十六日

                敬具

2011年2月26日 旦那から嫁へ
おれも夜になって、クロガネ兄貴と話しました。

旦那「これ、嫁のために作ってるシュシュなんですよ」

クロガネ「器用だな」
旦那「こういうの苦手ですか?」
クロガネ「どこがどうなっているんだ」
旦那「ここの中にゴムが通ってるんですよ」
クロガネ「・・・そうなのか」
旦那「芸術分野は好きですか?」
クロガネ「・・・悪いが、できそうもない」

不器用な兄と、器用貧乏の旦那の弟。
これから嫁を支える、新たな騎士のものがたり。



鈴木メルヒェン刃(旦那)
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テーマ:絵日記 - ジャンル:日記

コメント

No title

前の記事のコメントを見てすっ飛んできました。

本当に9人になったんですね。
これは・・・きっと喜んでいいんでしょうね。
だって瀬名子さんを守る人がもう一人増えたんだからノ

刃さんと、クロガネさん。
兄弟仲よく頑張ってください。

999さんへ

こんばんは、メルヒェン旦那の刃です。

クロガネ兄貴は割と素早くここに馴染んだようで、特に抵抗もなく、本当に家族として迎え入れられて、そのまま順応した感じですね。
まだまだあまり強くないおれを見かねての登場だったのではないかと思っているのですが、クロガネ兄貴のほうも、変わってるところがあるので嫁も興味津々です。精神的にはおれより強いでしょうけど、細かい作業なら負けない自信があるので(笑)。

おれと兄貴だけ仲良くなっても、家族は成り立たなくて、でも皆が友好的なおかげで、9人でもまとまって生きていけそうです。とりあえず男同士、兄貴とも仲良くやれたらと思っています。

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鈴木メルヒェン刃・瀬名子

Author:鈴木メルヒェン刃・瀬名子
鈴木メルヒェン夫妻です。「ちゃんとお嫁にいくまで」のはずが、いつのまにか想いがつのりすぎて、ご挨拶の末、お父様からも公認をいただいた旦那・刃(ジン)と嫁・瀬名子(セナコ)の夫婦漫才のような日常と、愛し合えた日々の軌跡の恋文日記。現実世界の嫁と、精神世界の旦那という、近すぎて遠すぎる哀しい距離さえも、喜びで消し去れるように。隣にいるアナタが、幸せでありますように。そんな願いのこもった、二人のブログです。

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