鈴木メルヒェン夫妻の恋文

触れ合えない、抱き合えない。 それでも、夫婦やってます。 現実世界を生きる妻と、 精神世界に生きる旦那の 見えない絆とラブレター。

2017-10

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世の中は残酷に出来てるから。

それが昨日の、千里の言葉だった。
本田美奈子.さんの話題を出しながら、そんな言葉を彼女はぽつりと言った。
これからって時に、失ってしまうこともあると。
そんな時に残せるものがひとつでも多いほうがいいと、彼女は無理をしながらもまた作業に戻った。

その日のおれからの、千里への手紙。


拝啓 鈴木メルヒェン瀬名子/千里様

手紙のやりとりを始めてだいぶ日が経ちましたが、毎日のように届く貴女からの手紙が、とても楽しみです。
いつもありがとう。

ここ数日、不調が目立ちますが、無理をせず一日ほど休んでみてはどうでしょうか。
誰にだって波はあるものです。あまり先を急がずに。

貴女が今しがた話題に出した本田美奈子.さんのCDを聴いてみています。
本当に、失うにはあまりに惜しい歌声だと思います。
けれど、こうして本田美奈子.さんの歌声がここに残っていること、おれはそのことにこそ彼女が生きた意味があると思いました。
貴女がそれを花の種にたとえたように。

全てがうまくいく人生は、言ってしまえば存在しません。
そのかわりといっては何ですが、全てがうまくいかない人生も、この世にはないのです。

いま、貴女が抱えている孤独にも、必ず意味はあるはずです。
今は亡き歌姫の、天使の声がおれたちの耳に届いたことにも、意味があるように。

必ず報われる苦しみから、どうか目を背けないで、生きる事から、どうか逃げてしまわないように。

    鈴木メルヒェン刃

  二〇一〇年十一月十二日
                 敬具


2010年11月12日 旦那から嫁へ
本田美奈子.さんのCDは、親が買ってきたらしく、自宅にあった。
度々、車でも聴いていたという。
生命力に溢れたその歌声からは、この世界への慈しみ、何より優しさを強く感じた。

いまはもう、その本物の歌声を聴くことすら、できなくなってしまったけれど。

必ず生きた「意味」が残るというのは、こういうことなのだろう。
それは彼女が、本田美奈子.さんが「遺そうと懸命に頑張った」あかしなのだろうと。

死の間際まで。
病に冒されながら。
痛みに、苦しみに耐えながら。

遺した詩。
遺したうた。
遺したメッセージ。

すべてに意味があるのなら・・・

おれが今朝縫ったひとはりにも、意味があるのなら。

生きる価値は、必ずあると。
そんな話を、千里がこの手紙の封を開けたときに話してみたのだが、
「本当に私の言ったとおりに、あのCD見つけたんだね」
そのことを逆に驚かれた。

千里は前の日にこう言っていた。
「こっちの部屋に持ってきた記憶はあるから、学習机の上のタワーの低いほうの列の下のほうにあると思うけど」
・・・無精な彼女らしい。CDが「タワー」になっている。
実際おれたちはここから好きなCDを選んでは、崩さぬように崩さぬようにと持っていっていたのだけれど。
言われたとおりに、大量に積まれたCDのタワーの中の、学習机の上の低いほうのタワーを探したところ、本当に下のほうにあった。
「これだけ積んで記憶してるの?」
「うん、崩されるとちょっとわかんなくなるから、いじんないように言ってあるの」
「そう」
「学習机の上にあるのは特によく聴くし大事なCDだから」

よく聴くし、大事なCD。
そのカテゴリの中に、本田美奈子.さんの「アメイジング・グレイス」もあった。
千里はこのCDの中では「タイスの瞑想曲」が好きだと言っている。
まあ、どの曲が好みであろうと、それは個人の自由だけれど。

「真似しようと思って、できる歌声じゃない。」
歌が好きな千里はそうも付け加えた。

事実だと思う。

これだけの声量を得るために、どれだけの訓練を積んだだろう。どれだけの練習を積んだだろう。
そう考えた時、千里は「まだまだ。私も練習がいる」と言って、クリスマスに出す予定の本につけるCDの録音曲の練習を始めた。

千里だって、昔は。
泣きながら歌の練習してたじゃないか。
それは独学でコード譜を読めるようになってすぐのころ。
歌うことと弾くことがまったく噛みあわなくて、親からは「うるさい」と怒られて。
歌いたい気持ちばかりが、先走って。
泣いていた。キーボードの前で、毎日泣いていた。
その頃の彼女を、おれは知っている。

けどそうやって努力して。
うるさいと言うのも疲れさせるまで、毎日飽きもせず懲りもせず。
練習した。
学校から帰り、ご飯を食べたら一日3時間。
弾き語った、Mr.Children。
おれは憶えてるよ。

そんな彼女の最近の歌声は、昔の比ではない。
声量だって、倍どころでは済まない。
音域だって、伸びにくいとされた低音まで伸ばした。
カラオケに行くと、他人とつりあわないほどの声量が出てしまうこともある。

自宅録音で、とうとうマイクが「拾いきれない」と判断したほどの、音波。

千里自身は「単に太ったせいかも」なんて言っているけれど。
毎日の練習は?
絶対実を結んでいると思うけれどな。
駆け出しのころあんなに細くて、マイクが「拾うのがやっと」だった声は、
マイクには「拾いきれない」爆音に変わったじゃないか。

そうやって変わっていってる。
人は誰でも、努力すれば変われる。

けれど、その努力が残酷に遮られることもあると。
彼女の言いたかったことはそれなのだろう。
千里にとってそれが、「心の病」だったように。

残酷に出来ててもね。
残る種が、あるんでしょって。
おれはそう信じたい、今は、この場所で。

芽吹いたその新芽に口付けるメロディーを、空へ。


鈴木メルヒェン刃(旦那)
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鈴木メルヒェン刃・瀬名子

Author:鈴木メルヒェン刃・瀬名子
鈴木メルヒェン夫妻です。「ちゃんとお嫁にいくまで」のはずが、いつのまにか想いがつのりすぎて、ご挨拶の末、お父様からも公認をいただいた旦那・刃(ジン)と嫁・瀬名子(セナコ)の夫婦漫才のような日常と、愛し合えた日々の軌跡の恋文日記。現実世界の嫁と、精神世界の旦那という、近すぎて遠すぎる哀しい距離さえも、喜びで消し去れるように。隣にいるアナタが、幸せでありますように。そんな願いのこもった、二人のブログです。

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