鈴木メルヒェン夫妻の恋文

触れ合えない、抱き合えない。 それでも、夫婦やってます。 現実世界を生きる妻と、 精神世界に生きる旦那の 見えない絆とラブレター。

2017-10

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葛藤?現実と仮想と精神世界

喜んでよかったのか。
悲しんでよかったのか。

どうすべきだった?
あのとき。


嫁への手紙。


拝啓 鈴木メルヒェン瀬名子/千里様

ようやく恥ずかしげもなく、この恋文を綴れるようになってきました。
最初のうちに比べれば、そこそこ順応したようです。

楽しんだあとの静けさが、痛みに変わってしまうこと…
改めて実感したような心境です。
翌日の影響が怖くて、なかなか薬を飲めませんでした。

昨晩は貴女は前の晩のおれのようで、思わず「言う事聞いて」と
同じ言葉を返してしまいましたね。あの時貴女がこういう心境で
おれを叱ったのかよくわかりました。そしておれたちは似た者同士だということも。

愛されていたがゆえにの間違いだと信じたいですが、貴女の
「寒いから暖めて。」
という言葉に、それができないもどかしさで胸が苦しかったです。

できることなら抱きしめてあげたかった。寄り添いたかった。
何もできなくて、ごめんね。それしか言葉が浮かばなくて。本当に、ごめん。

だけど、心では誰よりも深く繋がれるから、何も怖いことなんてないんです。
ただ一緒にいてくれさえすれば。今はただ、それだけで幸せです。

「ありがとう」と感謝を、花束に。

   鈴木メルヒェン刃

  二〇一〇年十一月十一日
                 敬具


2010年11月11日 旦那から嫁へ


昨晩は嫁の方が不調に陥った。
おれは安定剤を飲むよう促したが、彼女が拒んだので、前の晩に彼女がそうしたように、
「言う事聞いて」と言って飲ませた。

少し落ち着いた様子の嫁にずっと寄り添っていたが、ふいに彼女がこぼした。

「寒いから暖めて・・・」

・・・戸惑った。
どうやって?どうすれば彼女を暖められる?おれにはわからなかった。
彼女もまずいことを言ったと気づいたのか、視線が泳いでいた。

精神世界の中に投影された彼女の手を握ってみる。

「・・・何か感じる?」

彼女は視線を落とした。
「・・・なにも。」

「・・・」
本音をいえば、悔し涙をこらえていた。
当たり前のはずのそれを、してあげられない悔しさを。

「ここ(精神世界)にいるのは、あたしのオバケだから」
「じゃあ、何故」

彼女は俯いたまま、口角を少しあげてみせた。

「口がすべった。ごめん」

彼女は自分で暖まろうと布団にもぐった。

もし本当に夫婦なら、隣で眠って二人で暖かくなれたのにね。
冷えた彼女の指、暖めてあげたかった。


なかなか寝付けないまま時間がすぎたころ、千里は唐突に切り出した。
それも敢えて変な喋り方をして。

「アナタハ 今 幸セデースカ?」

その喋り方自体おかしかったのもあるが、おれは笑った。
「バァカ。」
これで返事になるのだ。
彼女との暗黙の了解のように。
意訳するならば「嬉しい」と「ありがとう」にあたるから。


夕方になって、また千里は調子を崩し始め、立ちくらみも目立ち始めたので、寝室に連れて行った。
抗うつ剤を飲ませて、落ち着かせようとした。

そこまで深刻でもなさそうだと、甘く見ていた。


千里の呼吸が急に乱れ始めた。
自分たちの中にかけめぐるおぞましい孤独感。
フォローできる人格もいなくなるほどの、強烈な孤独感。

落ち着かせるにはどうしたらいい?
どうしたら。

自問自答を繰り返す。

千里が蚊の鳴くような声でようやく口を開いた。

「反動・・・かな・・・」

「わかってる」

そのときのおれはやけに冷静だった。
なんとなく、「あの頃の自分」がそこにいた気がした。

「なんか生きてくのつら・・・」
「泣き言聞きたくないから」

気がつけば彼女の言葉を、冷たく遮っていた。
しまった、と思わず毒づいた。

途端に千里が泣きじゃくりだして、おれはどうしていいのか焦った。
ただでさえひどい孤独感に追い詰められている人間に、何故あんな冷たい言葉を浴びせた?

ひたすら自責せずにはいられなかった。

「ごめん、そんなつもりじゃなくて・・・」
「嫌だ怖いよ・・・助けて」

かなり状況が良くないと判断して、安定剤を足して落ち着かせた。
それでも、泣き止むまで随分時間がかかった。

彼女は。
たったひとりぼっちの世界で
誰にも見えない存在にすがって
どれだけの孤独を抱えて生きているんだ?

その孤独のはけ口にならないでどうする。
旦那さんともあろう男が。


泣き止んだ彼女に、ようやく言葉をかけた。

「泣いても良いよ。でも、笑ってる千里のほうが、おれは好きだから。」

まだ開封されていなかったこの手紙を、彼女に読むよう伝えた。

彼女は手紙を読み進めるうちに、また泣き出してしまった。


きっと抱きしめて欲しかっただろう。
温もりを求めていたんだろう。

与えられないこと。
それをただとにかく、「ごめんね」と謝った。

けれど彼女は、手紙を読んだあと、こう付け加えた。


「なんかね・・・彼氏といるみたいな感覚で、言っちゃった。暖めてって」


彼氏といるみたいな。
それはつまり、おれを「一人の男性として」見ている証拠?
精神世界の住人ではなく、一人の男性として。

それ以上を彼女に聞く気にはなれなかったけれども。

悲しいことかもしれない。
けれど、嬉しいことかもしれない。

そこにおれの「存在意義」があるというのなら。

愛されている証明が、あるのなら。



鈴木メルヒェン刃(旦那)
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鈴木メルヒェン刃・瀬名子

Author:鈴木メルヒェン刃・瀬名子
鈴木メルヒェン夫妻です。「ちゃんとお嫁にいくまで」のはずが、いつのまにか想いがつのりすぎて、ご挨拶の末、お父様からも公認をいただいた旦那・刃(ジン)と嫁・瀬名子(セナコ)の夫婦漫才のような日常と、愛し合えた日々の軌跡の恋文日記。現実世界の嫁と、精神世界の旦那という、近すぎて遠すぎる哀しい距離さえも、喜びで消し去れるように。隣にいるアナタが、幸せでありますように。そんな願いのこもった、二人のブログです。

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